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躁鬱病(BPⅡ)トウビョウブログ
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 きのう、会社の産業医から「就業可」という意見書が出た。ダメでもショックを受けないようにと、努めて期待しないようにしていた。でも、その判断は、拍子抜けするくらいに簡単に、ほんの5分くらいで下された。友達や家族に次々と連絡を回した。おかあさんは電話口で泣いていた。直後の診察で主治医に報告すると、先生は「よかったな」と何回も言った。ふだんの口調の「よかったですね」じゃなく「よかったな」と。
 病院の近くのカフェでパスタとサラダを食べた。アイスコーヒーにリキュールを入れられますよと言われたが、断ってそのまま飲んだ。ひとつの達成を、ひとり静かに祝う夜。それが電車で最寄り駅に近付いた頃になって、急に涙が込み上げてきた。これまでのあらゆる記憶が蘇る。感傷に絡め取られそうになる自分に、でも「これで終わりじゃなくて、これからが始まりなんだ」と言い聞かせる。躁鬱病が消えてなくなったわけじゃないし、特に最初の数カ月は再燃のリスクが高い確率で付きまとう。みんなには「長かった」とメールを打ったけど、これから先の方が本当はずっとずっと長い。
 手続き上の問題で、実際の復帰はもっと先になる。それでも、ここまで辿り着けたことが素直にうれしい。わたしと同じような病気に罹って、人生を投げてしまっているひと、死にたいという衝動と闘っているひと、気分の波が穏やかになる日の到来を信じられないひとがいたら、きっと大丈夫だからと伝えたい。無責任かも知れないけれど、それでも絶対に大丈夫なんだと、わたしは言いたい。そう信じて、正しい治療を受けて、自分なりのやりくりを覚えて、一歩ずつでもいいから進んで行けば、きっとこの病気と渡り合うことができるはずだ。こんな病気に<わたしたちの人生>を奪われたくなんかない。今も途上にある自分に言い聞かせるためにも、わたしはそう言い切りたい。

***

 昨晩、入院中の日記を読み返した。以下、抜粋。
 1日目「色んなことがうまくいっていた頃、少なくとも頓挫していなかった頃のことを思う。何でこんなことになっちゃったんだろう。何でこんなとこに入院してるんだろう」
 4日目「BPⅡの予後は従来予想されていた以上に悪く、発症前と同等の社会的機能を取り戻すひとの割合は驚くほど低いと、本に書いてあったのを思い出す。今、そのくだりが、まさに自分の予後を言い当てているように思える」
 8日目「泣いて、寝て、また泣いた。外出(:7日目に許可された)は取りやめにした。頭がぼーっとして、芯が鈍く痛む。背中も痛い」
 13日目「(外出中:)道ですれ違うひとを眺めながら、このひととわたしはどっちが不幸かと考える。……不幸を比べることは、やっぱりできないな」「小学生の遠足の列。わたしも小さな頃は希望で一杯で、暗い未来なんか想像していなかった」
 15日目「涙が出てくる。天井に点滴をぶら下げるための鈎が取り付けてある。それで首を吊ることをイメージしてしまう」
 17日目「Yさんは退院してしまった。お別れには出て行かなかった。こういうところでは、別れの挨拶が難しい」
 18日目「YSさんよりメール。NSさんが○○に配属になったという。順調に人生を上っているのが本当に羨ましい。わたしの人生は再び上ることがあるのか。そもそも道自体、老いるまで続いているのかどうか」
 19日目「(沢木耕太郎の『王の闇』を読んで:)文字通り、生命を賭して戦った輪島に自分を重ねるのは適当でないかも知れない。だが、重ねてしまう。わたしは仕事が好きだった。今、わたしは、そんなふうに大切だった仕事を、もう終わりにしてもいいと思えるような終わり方を迎えられているだろうか。否である」
 20日目「ズキーンとまた片頭痛がして、鳥肌が立つような痛みがくる。わたしの脳が破壊されていく音と痛みか」
 22日目「エレベーターでおばあちゃんが何事か呟いているので『なに?』と尋ねると『再起不能、再起不能……。再起不能って感じたことある?』とみんなの前で聞かれた。わたしは自信たっぷりに『ある、あるよ!』と答えた」 
 42日目「頭では適切な対応を続けることで波が小さく穏やかになると分かっていても、これを繰り返すのかという絶望感は深い。これを繰り返して生きていくことに嫌気がさしてしまう。うんざりしてくる。今回大きな困難があったのは事実だが、こうしたことはこれからも何度も起こる。そのたびにわたしは躁になったり鬱になったりするのか。特に懸念されるのは復職だ。復職には強いストレスが伴う。わたしはそれを乗り切れる気がしない。乗り切れるはずがあるだろうか」
 47日目「(『審問』を読んで:)辺見庸が身体の自由を失って考えた内容に、強い親和性を感じる。彼が老いて達した境地に、同じ地平が見えているわけではないとはいえ(何より蓄積が違う)、今自分も立てているかも知れないということは、一つの可能性だと思える。死ぬのは勿体ないかも知れない、などと考える」
 48日目「隣室のOさんの話し声が聞こえてくる。目も耳も悪くなった、夜中にだれかが殺してくれればいいのにと思う、と言っていた。若い頃に結核を患った際の輸血でC型肝炎にも罹っているのだという」
 49日目「今日は高揚してるよね、と言われた。今日の程度の刺激(:総合病院の神経内科に検査に行った)で、わたしは躁方向に移行するのだ。それを肝に銘じなければならない。そして、そのまま軽躁にならないようコントロールしなければならない。他人にいくら言われても無駄だ。自分で納得して進んで行くしかない」
 55日目「わたしの疾病観は本当にそれほど悲観的か。わたしには病相を繰り返すごとに、刺激への脆弱性が増し、悪循環に陥っていくように思える」
 61日目「夕べはあのおばさんナース(:眠れなくて追加眠剤を貰いに行った時、文句を言われた過去がある)が当直で、薬を飲みに行ったら、わたしの目をじっと見据えて『人生長いんだからね。ゆーっくり行けばいいんだから』と宣った。昨日は不安定だったものだから、見え透いた人生の先達からのひとこと的言葉に、うっかり落涙してしまった。それが悔しくて、また泣けた。トイレで鼻をかんだ」
 62日目「ここの医者にはそんないい加減なことするひといないから、という言い方は、何の安心にも納得にも繋がらない。○○大学だから信用するという時代ではないし、処方がいい加減かどうかが問題の核心でもない。結果ではなくプロセスなのだ。先生の言い方では、手術が成功すれば何をしたかの説明は不要だ、と言っているのと一緒だ。わたしは、先生がどういう考えの下でその薬を選んだのか、どんな長期的な治療戦略を持っているのか、それはどういう知見に基づくのかを知りたい。極端に言えば、先生の説明に納得すれば、今の潮流に全くそぐわない処方でも、わたしは着いていくだろう」
 63日目「診察で泣いてしまった。再燃への恐怖、あとがないという切迫感、復職で不安定化して『ああこのひと、やっぱりおかしいんだ』と思われるんじゃないかという不安……。そういうものが、ないまぜになっている」 
 65日目「睡眠状態が日に日に悪くなっている」
 66日目「みんな、わたしが気分の状態を気にしすぎだと言う。外からは分からない、普通だと。そう言われるたび、じゃあ波を見せてやろうかという思いに襲われる。気分の赴くまま、やりたい放題やって、上がったり下がったりするのを見せてやろうかと」
 70日目「入院してみて過去を振り返り、今度こそ正しく自分の気分を捉えられるようになったと思った。ところが、わたしが”気分の認識”を詳細にやろうとすると、みんなはやりすぎだ、いつも全く普通に見える、と言う。こんなに努力しているのにと反発する一方で、わたしはそうなのかも知れないと疑い始めた。だとすれば、依然としてわたしは、わたしの気分のレベルを把握できていないということになる。もう、わたしは考えるのが嫌になってしまった。本当に病気なのかも分からなくなってしまった」「神経質に気分を管理して生きて行くなんて疲れる。一生はやっていけない。そんな一生を想像すると嫌気がさしてくる。辟易、この言葉を何度も思う。辟易する、辟易した。そんな一生を送るくらいなら、好きにやって病相を繰り返した方がましだとさえ思える」
 80日目「夕べ、また先生に意見して感情が激し、馬鹿みたいに泣いてしまった。先生はあなたには医者の苦悩が分かっていないと言った。わたしは先生には患者の苦悩が分かっていないと言った」
 82日目「この前、先生と話していて泣いたような泣き方は、猛烈な自己嫌悪を抱かせる。要するに、わたしは感情が激するときの激し方が、正常なひとより激しいわけだ。仕事でなにかを主張するような場面で、わたしは平静を保てるだろうか」
 84日目「多少上がっても、ここまでなら大丈夫だという”あそび”の領域を体得することが必要だ。それによって神経質になりすぎることも避けられるように思える」「薬をやめてしまいたくなる日が、また来るだろう。本当に病気なのか、薬をやめて大きな波がくれば納得できると思ってしまう。軽症であるがゆえのジレンマ、というのもある」
 85日目 退院、ブログ開設
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