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躁鬱病(BPⅡ)トウビョウブログ
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 眠りのリズムを立て直すべく、夕べは午前0時就寝。午前11時まで寝てしまう。午後1時、精神科医である岩波明の「狂気という隣人」(新潮社)を再読しながら入浴。1時間くらい湯船に浸かったら、入浴前より体重が500グラム減っていて喜ぶ。午後2時半、食事のため外出。少しは野菜を摂らなければと思って、けんちん蕎麦を食べながら、蚊に食われる。倦怠感と眠気があり、街を歩く気力もあまりない。コーヒーのチェーン店に入って、ベイクドチーズケーキとコーヒーを頼み、パソコンを開く。
 気だるいのは、セロクエル(非定型抗精神病薬)のせいかも知れない。静かに、ひたひたと軽躁に向かっているような予感があって、ここ2日間、就寝前の薬に追加して服用している。量は12・5ミリグラム。セロクエルは一番少量のもので1錠25ミリなので、それを半分に割って飲んでいる。勿論、コンディションに合わせて増減させる。
 症状の軽重の問題もあるだろうが、それに加えて、どうやらわたしは薬に対する感受性が強く、一般的に使われる量より、はるかに少ない量でも効果が得られる。逆に言えば、ごく少量でも副作用が出やすく、効果と副作用のバランスをはかって、飲む量を決めている。感受性と言えば、詩的な感性みたいで響きが良いが、要するに薬に弱いだけのことで、医者からは冗談めかして「脳がちゃんと発達してないってことなんだよ」とか「頭のネジが2本くらい緩んでる」とか言われたこともあるくらいなのだ。だから、セロクエル12・5ミリなどという、こちらは別の医者に言わせれば「ウンコみたいな量」でも、鎮静感が全面に出ることがある。睡眠時間も多すぎるので、今夜はセロクエルを止めてみようか。こんな試行錯誤の繰り返しである。

 It's only talkというのは、絲山秋子が文學界新人賞を受賞した小説のタイトル「イッツ・オンリー・トーク」から拝借した。彼女も躁鬱病で、主人公も躁鬱病だ。このタイトル自体は、話中で流れるキング・クリムゾンの歌詞からとられている。わたしはこの小説を、入院していたときに2回読んだ。
 こんなくだりがある。「精神病というやつは、病気で状態が悪い上に、精神病であるという事実とも立ち合わなければならないので具合が悪い。私は発病したとき、まるで重い鎧兜を身に付けたような気がした」。「私」は1年入院して復職する。が、「半年働いて再発した時、もう私の前にレールはなかった。会社をやめて絵筆をとり、一年後に賞を貰った」。
 躁鬱病は緩解しても完治することはないとされる。病相予防のため、リーマスやデパケンRなどの気分安定薬を飲み続けなければならない。再発のリスクと隣り合わせで、再発への恐れに苛まれ続ける。わたしは病歴が浅く、実体験に乏しいので、本で仕入れた知識だけで頭でっかちになっていて、必要以上に恐怖心が高まっている側面もある。再発した時、目の前にレールはなかったという主人公の回顧は、だからわたしの未来を言い当てているようで、怖かった。
 緩解しても間違いなく再燃する、再燃したらレールが消える。医者に不安を訴えると、「あなたの疾病観は悲観的すぎる」と返された。今は、そういうことでレールが失われるような時代ではない、とも言われた。でも、鬱になったり躁になったりする人間を、雇っておきたいと思う会社が、あろうはずがないではないか。少なくとも、一線には置きたくないだろう。泣いて反論するわたしを、先生は「躁鬱病は必ずコントロールできる病気だから」と繰り返して励ました。
 元々、仕事人間だった。病前性格の一つとされる「執着性格」に、よく当てはまる。私生活なんて殆どどうでもよくて、仕事があるから生きていたようなものだった。だから、仕事を失うことへの恐れが、殊更強い。しかし、発症前のような仕事のスタイルを続ければ、再発するリスクは格段に高まる。ストレスは再燃を呼び込む。医者は「6割の力で」と忠告する。でも、好きな仕事で力を抜くことを、自分に許すのは難しい。120%やって散ってしまえ、という衝動に駆られる。すぐにまた、再発のことが頭をよぎる。

 やはりイッツ・オンリー・トークを読んだ年上の知人から、「あんたも絵描きになるしかないね」と言われた。勿論ジョークだったのだが、大人になった今、一から新しいレールを敷くことの困難に思いを馳せた。
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