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躁鬱病(BPⅡ)トウビョウブログ
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 結局、あれからしばらくして、2週間入院した。クリニックの主治医の判断で、さらに1ヶ月間、休養することになって、今は自宅療養をしている。

 前回ブログを更新した直後の5月上旬、1ヶ月ぶりの診察で「焦燥性鬱状態」と診断され、すぐに入院するよう勧められた。この症状の場合、自殺企図の危険性が高いからだと説明された。「よく1ヶ月も(診察に)来ないでいられたね」と変な感心の仕方をされた。その時は先生の指示に従わず、なんとか通院で乗り切ろうとしてみたけれど、2週間と少しで破綻した。
 ずっと軽躁状態が続いていると思っていたが、それは素人の思い違いで、鬱が混じり込んできているというのが実態だったようだ。鬱の「焦燥」と呼ばれる症状は、躁と鬱の症状が同時に現れる「混合状態」と似ている。焦燥=混合状態とする医者もいると、先生から説明された。
 目立ったのは、激しいイライラだった。上司や先輩にも苛立ちを顕わにしてしまって、人間関係を損なった。少なくとも自分ではそう思えて、孤立感を深めた。それに加えて、怒った数分後には泣いてしまうような気分の急降下にも悩まされた。そんな自分に嫌気が差して、最後には希死念慮に苛まれた。希死念慮には積極的希死念慮と消極的希死念慮があるが、今回は明らかに前者の方だった。自殺の方法や死ぬ前後の状況を、繰り返し、具体的にシュミレーションした。

 入院先は山の中で、くねくねした坂道を登ったところにあった。わたしより年下らしい小柄な眼鏡の医者が担当になった。定期的な診察はなくて、2日に1回くらい、先生が個室にやって来て話すのが、そこでの「診察」のようだった。しかし、入院した日に初めて会った医者だ。向こうも、わたしは短期静養が目的の患者で、一時預かっているだけというスタンスだった。「調子はどうですか」「大丈夫です」。診察は終始そんな具合で、「診られている」という実感は全くなかった。

 退院した日、その足でクリニックに行って、主治医の診察を受けた。退院したひとには「おめでとう」と言うのが常套句かも知れないけれど、必ずしもおめでたいとは限らないことを、改めて身を以て知った。精神科病院からの3度目の退院は、明るくはない現実に直面する時期が近付いていることを意味している。病院からクリニックまでの道すがら、わたしの気分は沈んでいった。
 会社人としては終わったも同然だ、という思いが心を占めていく。「会社なんて」「仕事なんて」と励ましてくれるひともいるけれど、少なくともわたしよりずいぶん長いこと、順調な道を歩んだひとに言われても、わたしはどうしたって受け容れることが出来ない。もう少し、もう少しでいいから、仕事を存分にやったと納得できたあとだったとしたら、わたしだってそんなふうに悟れるのかも知れないけれど。今度は、死にたいという思いが、再び心を過ぎった。

 「10番の患者さん診察室へ」というアナウンスで、着替えの詰まった旅行バッグを抱えて診察室に入った。先生は「入院してくれて本当に良かった」と言った。わたしは「入院する前と何一つ変わっているようには思えません」と返した。「要注意期間を隔離された空間で静養して過ごしたというだけでも、医学的にはすごく意味のあることなんだよ」。そんな言葉でわたしをたしなめる先生に、「絶望的ですよ」と言い返した。「絶望的なんかじゃないよ。これからどんどん良くなっていくんだから」と先生は励ました。「症状は良くなったとしても、仕事は違う」「仕事のことを考えなければ何ともないのに、仕事のことを考えた途端に不安定になってしまう」とわたしは訴えた。
 「そうだね。あなたにとって仕事がどんなに大きなものかは、よく理解してる。あなたは『仕事のことを考えなければ』と言ったけど、考えずにはいられないこともよく分かってる」
 入院中は出なかった涙を、退院した日の診察室で流した。

 この日、あと1ヶ月の自宅療養が決まった。
 きっちり1ヶ月後に、復職出来るという保証はない。
 戻れたとして、その先にどんな将来があるのかは見通せない。
 希死念慮も、わたしの心から、まだ消えてなくならない。
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